第9話「黒翡翠の魔力」
自宅に帰って、月音姉さんが寝たのを確認してから、僕は自室で秤蜘蛛と、いつものビデオ通話を始めた。
『お疲れ様ですー。星音様、中々に大変なデートでしたね』
「はぁ、無事に終わって良かった。酔蜚蠊と夢蟷螂には感謝しかできない」
『あの二人には、僕の方から報酬を渡します。しかし、僕も半信半疑でしたが、アメリカに居る
「うん、黒翡翠病患者の犯罪事件遭遇率は常人の20倍……最初は何の冗談かと思ったが、治安国家である日本で今日だけで不良グループが集会してるゲームセンターに行ってしまった。プロの人攫いに遭遇した。しかも先日は姉さんが大学生グループによる犯罪に巻き込まれた。明らかに異常だ」
『
骸蝿、魂蛍、僕はこの二人を信じてアメリカに送ったし、黒翡翠病の研究をしている哲百足をサポートに回したが、一日だけで10件、アメリカの患者を見つけたのが半年前。
それから徐々に犯罪に遭遇する確率が増えて行っている。
骸蝿、魂蛍、哲百足、この三人を信じてはいるが、彼等だけで患者を守り切れるとは思えない。
増援を送るべきか? いや、第二の患者である月音姉さんは、まだ発症してから数日しか経っていない。
だが、このまま放置してると事態は最悪な展開になる。
「哲百足に至急、黒翡翠病の治療法を見つけるように連絡してくれ。それと、この異常な犯罪遭遇率の原因解明も依頼してくれ」
『承知しました。哲百足の研究によると、患者の心臓にある石が、犯罪者を誘惑するようなフェロモンを出してる可能性があるらしいです。しかし、なぜ犯罪者ばかり誘惑するのか? なぜ普通の人間には効果がないのか? この違いは何なのか? これに関しては、彼の研究結果を待つしかありません」
「果報は寝て待てか、本当にこっちからは、何もできないのか? 秤蜘蛛」
『悔しいですが、患者を解剖するわけにもいきませんし、それに月音様は文化祭があるのですよね? かなりの大人数が来るかもしれません。しかも月音様はバンドをやる』
「かなり目立つな。酔蜚蠊が近くに居るのは助かるが、彼女だけでは姉さんを守りきれない。夢蟷螂は……あんまし、あの子に能力を使わせたくないな」
『夢蟷螂は、自分の能力にトラウマを抱えてますからね。では、追加で誰を護衛に付けます?』
「No.6『
『分かりました。眠葉虫は月音様と同い年ですから、すぐに仲良くなるでしょう。灼熱蜂は義理堅い男ですから、ボスからの命令であれば断る事はないでしょう』
「よろしく頼む……秤蜘蛛、いつも君には面倒をかけるな」
『いえいえ、僕も初代ボス様との縁がありますし、その子孫である星音様の命令には従いますし、月音様を全力で守る所存です……しかし、なんか重たい話になっちゃいましたね』
「本当に重たい事態なんだから仕方ないだろ?」
『ふーむ、星音様もボスとして気を張りすぎです。あ、そーだ! 今からオンラインゲームしません?』
「は? 何を言って……」
『星音様は中学生なんですから、僕のような大人を頼っても良いのですよ? てか、甘えるべきです! 子供は大人を頼るべきです! なので、星音様が好きなオンライン推理ゲームしましょうよー!』
「君が遊びたいだけじゃないか!?」
『バレましたか。てへぺろ』
「うーわ、大の大人が、てへぺろとかないわー」
秤蜘蛛に呆れながら、星音は秤蜘蛛とゲームをした。
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