第6話「夢ちゃんとぬいぐるみ」
「いやー楽しかったね!」
女装した弟とゲームセンターを満喫する。中々に最高のシチュエーションじゃないかね?
もしも男の娘研究学なる学問があるなら、私は可愛い弟の論文を執筆する事を苦にはならない。
私達はゲームセンターから出て、近くの公園を歩いていた。
そこそこ大きい公園ではあるが、遊具が危険だからと言う理由で滑り台しかない悲しい場所ではあるが、その代わりに森林浴を楽しむ事ができる最高のデートスポットだ。
「ふぇぇぇ、たすけてー」
むむ? 泣いてる子供の声が聞こえる。
私達は泣き声が聞こえる方向に向かうと、そこには小学生ぐらいの少女が居た。
しかも、エプロンドレスを着ていると言う。なんだかファンタジーのお姫様みたいな子が公園に座り込んで泣いていた。
「どうしたの? 何があったの?」
私が声をかけると、少女は涙目でこちらを見た。
「うぅ、大切なお仕事の最中なのに道に迷ったのぉ、今頃みんな怒ってそう」
お仕事? うーん、お買い物かな?
そんな事を考えていると、星音は抱いていたクマのぬいぐるみを少女に渡した。
「一人でお仕事なんてえらいね。ほら、クマさんも君を応援してるよ。だから元気出して」
「あ、ありがとう、ふわぁ、クマさんふかふかぁ」
なんだこの幸せ空間。星音は女装しているが、まるでファンタジーに登場する王子様が泣いてるお姫様を
おいおいおいおい、死ぬわ私。
あまりの尊さに死ぬわ。
「うぅ、夢ちゃん、元気になった……えーと、誰かは分からないけど、こんなダメダメな夢ちゃんに優しくしてくれて、ありがとう」
はぁぁぁぁぁぁぁ!! ぬぅおおおおおお!!(荒ぶる私の魂)
男の娘も良いが、この純朴な少女に感謝されるのも良すぎる!
なんだぁ!? こんな幸せな日が来るなんて、SSR級か!?
「お姉ちゃん、息が荒いけど大丈夫?」
あまりの興奮に星音に心配をかけてしまった。
「ハッ!? う、うん大丈夫。それより夢ちゃん? で良いのかな? 何のお仕事か分からないけど、そんなに大事な事かな?」
「うーん、夢ちゃんも分かってない、秤ちゃんが言うには世界を救うお仕事だとか、なんとか」
「???」
あれ? この子もしかして、イジメ受けてる?
秤ちゃんが誰か知らないけど、こんな可愛い女の子に厨二病みたいな事をやらせるなんて、けしからん!
「そっかぁ、夢ちゃん、よーく聞いてほしいかな? 世界を救う必要はないよ。それよりお姉ちゃん達と遊ばない? 一人だと寂しいもんね」
「ふぇ? こんな夢ちゃんの為に時間を使ってくれるの? あ、ありがとう、クマさんも居るから安心できる」
夢ちゃんとクマのぬいぐるみのコンボか、星音がクマのぬいぐるみを抱いてるのも良かったが、こんな純朴な女の子が抱いてるのも、見てるだけで癒される。
♡♤♧♢
月音、星音、夢ちゃんの三名が公園にいる所を監視する人物が居た。
「ほう、上玉な少女が三人も居るか。闇市で売れば高くなりそうだ」
三人の身に危険が迫ろうとしていた。
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