第4話「姉弟のデートを防衛せよ!」
「おぉー! このぬいぐるみ欲しいなぁ!」
ゲームセンターにやってくると星音がUFOゲームの中にあるクマのぬいぐるみを見ていた。
趣味が女の子なの良いなぁ!!
「よーし、お姉ちゃんが取ってやる!」
ここで姉としてカッコいい場面を見せなきゃ!
と、思ってた時期がありました。
「取れないね、お姉ちゃん」
くそぉ! 全然取れない! なんでこんなにアームの力が弱いんだ?
UFOならアームではなくキャトルミューティレーション(UFOが謎の光で誘拐するアレ)に変えれば良いのに!
「くはは! 苦戦してるようだな水無月」
おや? この特徴的な笑い声は。
「あ、
そこに立っていたのは、私の学校の担任である女教師の
20代前半ぐらいの若さで、髪は教師なのにボサボサヘアーだが、何故か許されている。
生徒からは克奈ちゃんと呼ばれても怒らない、むしろ生徒とは友人みたいな感じで接してくれる優しい先生だ。
「おやおや、可愛い妹の為にぬいぐるみ取って上げてんだー水無月も立派な、お姉ちゃんだねぇ」
「は、初めまして! 僕は水無月 星音と申します!」
「おーおー、ちゃんと挨拶できて偉いねー」
今日は土曜日だから学校が休みだけど、教師である克奈ちゃんは仕事とか残ってないのだろうか?
と言うか、なんでゲームセンターに居るのだろうか?
「克奈ちゃん、なんでゲームセンターに居るの? 仕事は大丈夫なの?」
「んにゃ、これも仕事。まー見回りってやつだ。私も教師の端くれだしー? 休日に羽目を外しすぎた生徒が居ないかチェックしてただけ」
へー、教師も大変なんだなぁ。
私が心の中で関心してると、克奈ちゃんがUFOゲームにお金を入れた。
「くはは、ここは教師である私が取ってやろう」
「えぇ? そこまでしなくても良いのに」
「いいのいいの、私がぬいぐるみ取りたいだけだから」
克奈ちゃんのクレーン操作を見てると、まるで熟練のゲーマーみたいに慎重な操作をして、いつも眠そうな目が鋭くなっていた。
私がいくらお金を払っても取れなかったクマのぬいぐるみを、あっさりゲットしてしまった。
こ、これが大人の実力!
「はーい取れたよー」
克奈ちゃんは再び眠そうな目に戻って星音にクマのぬいぐるみを渡した。
「わーい! ありがとうボサボサのお姉さん!」
「うぐ、ボサボサなのは事実だけど、実際に言われると傷付くな」
そんなにボサボサヘアーが気になるなら直せば良いのに。
そんな事を言ってると克奈ちゃんは、こちらに手を振った。
「じゃーなー水無月。もうすぐ文化祭だろ? アンタらのバンド演奏楽しみにしてるからなー。私は再び見回りに戻るよー」
「うん、じゃあね克奈ちゃん」
私達は克奈ちゃんと別れて他のゲームに向かった。
♡♤♧♢
『わーい、ゲームが上手いんだね。ボサボサのお姉さん!』
「くはは! 次言ったら顎砕くぞ秤蜘蛛」
如月 克奈とは偽りの名前、彼女のコードネームは『酔蜚蠊』であった。
『あ、そうそう、月音様と星音様が向かったゲームエリアに不良が居るっぽい。なるべくバレない範囲で対処してくれ』
「りょーかい、てか夢蟷螂はまだかよ? アイツが居れば楽に任務が終わるだろ?」
『えーと、夢蟷螂は……あちゃー、ゲームセンターから3kmも離れた場所で迷子になってる』
「……はぁ、そうかよ。今時の若者なのにスマホの使い方すら分かってない奴だからな。さーて、んじゃ優しい女教師としてじゃなくて、酔蜚蠊として不良退治しますか!」
『なるべく暴力は使わない方向で、お願いね?』
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