第5話:悪魔との戦い2

 敵の悪魔たちが一斉に襲いかかってきた。


「弓兵、放て!」


 ミラ団長の号令で矢の雨が降り注ぎ、最前列の悪魔たちが次々と地に倒れ込む。

 しかし、その背後からさらなる群れが押し寄せてくる。


「盾、構え!」


 ガストン団長の指示で、重装兵が盾を掲げて前進し、敵の突撃を受け止めた。

 その盾の壁に激突する悪魔たちの衝撃音が響き渡る。


 俺は剣を構え、第三騎士団の仲間たちと共に前線を支援する。

 敵の動きは単純で、力任せな攻撃が目立つが、それだけに油断が命取りだ。


 最前線で戦いを繰り広げる中、俺たちは次々と悪魔を倒していった。


「一体ずつ確実に処理しろ!」


 ガストン団長の指示で、部隊は冷静に進軍し、数で劣る悪魔たちを一掃していった。

 数分後、最後の悪魔が倒れると、ようやく静寂が訪れた。

 周囲を見渡すと、騎士たちの表情は厳しく、だがどこか安堵の色も見える。


「よし、全員無事か?」


 ガストン団長が確認の声を上げ、隊員たちが次々と無事を報告する。

 ミラ団長も周囲を見回し、指示を出す。


「負傷者は?」

「軽傷者のみです」

「よし。では、警戒しつつ一度装備などを整える。その後、件の村に向けて出発する」


 警戒しつつ、各々が装備の確認を行う。


「全員、装備を整えたか?」


 ガストン団長の声に、騎士たちが一斉に応える。


「問題なし」

「準備完了」


 ミラ団長が状況を確認しながら、再び指示を出す。


「よし、警戒しつつ件の村に向かう。油断は禁物だ。どんな状況でも慎重に動け」


 その言葉通り、全員が身を引き締め、足音もひそやかに村へ向かって進んでいった。

 周囲の森は深く、異様な静けさが支配する。


「ここまでくれば、もうすぐだな」


 ミラ団長がそう言って程なく、件の村近くまでやってきた。


「一度、偵察部隊を送り、探った方がいいでしょう」


 メイリス団長が言った。彼女の表情は冷静だが、その目には鋭い光が宿っている。


「異変を感じるか?」


 ガストン団長が問いかける。


「わずかにですが、気配が乱れていますね。偵察部隊を送り、状況を把握するのが賢明かと思います」


 その言葉を受けて、ミラ団長がすぐに偵察部隊を送り込むことを決めた。

 数人の騎士が静かに村の周辺に分散し、敵の気配を探る。

 しばらくして、偵察隊の一人が戻ってきた。


「報告します。村は破壊しつくされており、周辺には下級~上級悪魔が二百五十、最上級悪魔と思わしき個体が五匹確認できました」


 報告を聞いて、どこからか唾をゴクリと飲み込む音が聞こえた。

 俺は報告を聞いて顔をしかめた。

 これは厳しい戦いになるだろう。

 メイリス団長が尋ねる。


「伯爵級悪魔の居場所は?」

「それが、それらしい個体は確認できませんでした。ですが、村から感じる強大で邪悪な気配から見て、伯爵級悪魔が潜んでいるのは確定できるかと」

「ふむ……」


 メイリス団長は冷徹な視線で地面を見つめ、少しの間黙って考え込む。

 そして、ふと顔を上げると、周囲の騎士たちに目を向けた。


「そうか。伯爵級の気配は確かに感じるが、姿が見えない。油断できないな」


 ミラ団長も静かに頷いた。


「まず、最上級悪魔を排除しない限り、村の安全は確保できない。だが、予想以上に強力な敵がいる可能性があることを考慮し、慎重に行動するべきだ」


ガストン団長がすぐに指示を出す。


「まずは最上級悪魔を優先的に討伐としよう。後はリクの作戦通り、爵級悪魔の位置を確定するまでは、第三騎士団を中間位置しよう。それまでは全面を我が第二騎士団、第三騎士団は機動力を活かし、敵の攪乱と伯爵級悪魔の居場所を見つける偵察で行こうと思う」

「では、再度偵察部隊を出して、悪魔の配置をもう少し細かく調べさせる。そして、最上級悪魔の場所を特定したら、そこに全力を注ぐ形で動く」


 ミラ団長が提案すると、ガストン団長とメイリス団長も頷き、すぐに行動に移す。


「これからの戦闘は、長期戦になる可能性が高い。準備を整え、全員が役割を果たすべきだ。今回は一匹ずつ確実に倒していく必要がある」


 ガストン団長がその言葉で隊員たちの気を引き締め、再び偵察隊を派遣する。

 数分後、偵察部隊が戻り、再び報告が上がった。


「最上級悪魔の三匹は村の北側に集中しており、残り二体は南におります。しかし、伯爵級悪魔の居場所は依然として判明しておりません」


 メイリス団長が頷き、ガストン団長とミラ団長も考えていた。

 俺は提案する。


「でしたら、軍をこのまま北側に移動させ、最上級悪魔を最優先で討伐するのはどうです? 三匹倒せれば、残りは二匹になるので比較的動きやすくなるかと」


 そこから報告で配置を確認しつつ、俺の提案した作戦で行くことになった。

 三匹を討伐後、二体も優先して討伐する。

 伯爵級悪魔が現れた場合、メイリス団長とガストン団長が相手することになり、その間は俺とミラ団長で最上級二匹の相手をすることとなった。


「では、行くぞ」


 ガストン団長の言葉に、全員が静かに頷き、北側へと移動を開始した。

 こうして伯爵級悪魔討伐戦が開始されるのだった。


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