第20話:変わりゆく日常
さて、ハロウィンの日以降、変化したことは
「なあなあ、
「なんだ、
「その子って巷では妖精とか言われてる子だよな?」
「そうらしいな」
「なんでここにいるんだ?」
花恋と過ごした休日明けの月曜日の昼放課、何故か俺たちの目の前には妖精と呼ばれる少女、
「なんで、と言われましても、進君と私は幼馴染だからですよ?」
「おい、香里菜。それって理由になってないぞ?」
「そうですかね?一緒にいる理由が幼馴染ってよくあることだと思うんですけど」
まあ、この通り幼馴染ということを理由にして一緒にいようとするようになった。皮を被っていることを知っている俺からすると違和感がやばい。花恋も同じく皮を被っていると言えるが、若干様子が違うんだよな。
花恋は明確に人、というか雰囲気というか、『人格』自体が入れ替わっているという表現がぴったりな感じなんだよな。二重人格、というわけではないのだが、文字通り人が変わったかのように思える。
一方、香里菜は表面上の話し方が変わるだけだ。雰囲気は変わっていないのに喋り方だけが変わる。如何せん、今さっきの話し方の方が彼女の容姿の醸し出す神秘的な雰囲気にはぴったりなのだが、残念ながら家での話し方が素である。そのせいで残念感が否めない。
閑話休題
「まあ、いいや。下手にこのまま続けてもああだこうだ言ってここに居座る気だろ?」
「よくわかっていますね。さすがです」
そう言って香里菜は持ってきていた弁当を広げ始めた。俺の机で。そんな妖精?の行動はまあ目立つ。彼女の容姿も相まってかなりの視線を感じる。なお、その視線は半分は香里菜に、もう半分は俺にである。なお、俺への視線はほぼ嫉妬か羨望の意を含んでいると思われる。この視線、慣れることはないんだろうな。
「あのさ、香里菜」
「なんですか?」
「いい加減ここに来るのやめてくれないか?あとが面倒なんだ」
そう、ハロウィンの翌日。早速こいつは教室で堂々と今と同じようなことをしてきた。普段自分からあまり動くことのない妖精と呼ばれる少女が自分から動いたのだ。しかも、男子に話しかけるために。しかも、その男子が幼馴染だと言い放ったのだ。どうなったと思う?天地をひっくり返したかのような大騒ぎになった。
その日はそれ以降の時間、まあ地獄だった。当然の帰結であった。男女問わず妖精とお近づきになりたい人からの猛攻撃を受けた。結局どうにかのらりくらり躱してどうにか乗り切ったが、まあ大変だった。花恋との密会で俺の方から話題を提供するという稀有な機会を得られるほどには。
まあ、結局毎日のように来るようになったせいで慣れてしまったのか、それとも別の要因なのかはわからないが質問攻めに遭うことは少なくなった。まあ、こんな感じで視線は飛んでくるが。
「あー、検討だけしておきますね」
「それ、絶対考えないやつだろ」
どこの政治家だよ。
「やっほー!守ー!」
そこに
「あ、香里菜ちゃんもいるー。やっほー」
「こんにちは。
ちなみに教室への襲撃初日、麻耶もいてあっさりと仲良くなっていた。守はその様子を見てどこか不思議そうな顔をしていたが、香里菜の素を知っている俺としては納得の行く感じだった。だって、波長合いそうだし。
「今日は外には行かないのですね」
「あー、行きたかったんだけどさー。グラウンドの状態が微妙でねー」
「ああ、確かに昨晩は降りましたものね」
そんな会話をしている中、どことなく気まずさ、主に今も降り注いでいる殺意も混じり始めた気のする視線由来、を感じながらも食事を続けた。守は麻耶経由であっさりとその会話へと混ざっている。まあ、香里菜への違和感を感じなければそりゃ混ざれるよな。俺?違和感やばすぎてきつい。だからわざわざ話に入り込まない。
「あ」
そんな話の最中、ふと廊下に視線を向けた香里菜が急に席を立った。そして、廊下へと出て行ったかと思うとある人を連れてきた。
「ほら、篠原さんも混ざりましょ?」
「え?え?え?」
その連れてこられた人はお姫様と呼ばれる少女、
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