第2話 初めてのフルダイブ

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「これが...」


『そう!それが次世代フルダイブ装置 フルダイブしちゃうぞくんだ!』


凛花と通話を繋ぎながら 私は見た目に反して軽いヘッドギアを手に取る


「ふむ...ではこのアーツバトルオンラインのソフトを フルダイブしちゃうぞくん に読み込ませれば良いんだな?」


『..まさか真面目に読み上げるとは思わなかったよ...んで、そのデータを読み込ませればokさ!』


「了解」


ヘッドギアにソフトデータを読み込ませる


「...てっきり一時間くらい掛かるかと思ったが..」


『ところがぎっちょん!!5秒程度で終わるんだだよなこれがァ!!』


「技術の進歩とは凄まじいものだ」


『それが当たり前になってるだけで しおりんが疎すぎるだけなんだよ...』


「それで...これをコンセントに繋げて起動すればいいのか」


『そう!後は私の指示に従って本体の設定してくれ!』


「了解 頼む」


『まっかせなさーい!!』





「これであとは頭に被ればいいのか?」


『そ!そんじゃ今日はチュートリアルとか慣れるのとか色々あると思うし本格的にやるのは明日から!』


「了解 今日はお試しでやってみることにする」


『バイト先への連絡は?』


「連絡はした 丁度 シフトが決まる前だったからどちらも幸いすぐ辞めれそうだ」


『賞金があるとはいえ思い切ったねぇ?生活費は大丈夫なのかい?』


「ああ、電気代やガス 水道代 家賃も払い済みだ それに...」


『?』


「この戦いが負けたら...私は雫と一緒に...死ぬからな」


『...歪んだ姉妹愛だねぇ』


「...何も言わないんだな」


私の雫へ向けるこの想いが普通じゃないのは十分理解している だが凛花の反応が思ったより薄く そう尋ねてしまった


『まぁね しおりんが妹へ向ける愛情が重い事は知ってたし...それにそんな状態で無責任に生きろなんて私は言えないね』


「そう..か」


私は本当に良い友人を持ったものだ...


『ま、なんにせよ...私が必ず勝ちへ連れてってやるよ 』


「..ふふ、とても頼もしいな」


『おうとも 数々のFPSをプレイしてきた私に任せたまえ! それじゃあ今日はお試しでログインすることになるだろうしここいらデ終わりにしようか 後はゲーム内で色々教えてくれるはずさ!それでも分からないことがあったら後日 私に聞いてくれたまえ!それじゃっ!』


「ああ、また明日」



そうして私は凛花との通話を終える


「これを被れば後は自動か」


昼食は済ませたしやるべき事は終わらせた


「ベッドに寝っ転がって...被る」


『 フルダイブしちゃうぞくん 起動』


その瞬間 一瞬の目眩と浮遊感に襲われ 意識が朦朧とする


「くっ...ここは....」


辺りを見渡すとそこは真っ白な空間


「先程まではベッドに寝ていたが...これは凄いな」


身体を動かす感覚が現実と対して差が無い


これが最近のゲームか


最新の技術に感動している所 目の前に青い扉が現れる


「? これは...」


そこにはアーツバトルオンラインと書かれている


「入れば...いいのか?」


とりあえず開けてみると..


「ッ!?」


目の前が強い光で覆われ...





「何をチンたらと寝そべっているのだ?この雌豚が!!」


次に目の前に現れたのはやけに使い古された訓練所に 金髪の軍服を着た外国人女性がこちらに向けて罵倒をしている所だった




********



「何をボケっとしている?早く立て!!それくらいもできないなら今日からお前は雌豚からクソ虫だ!!」


とりあえず状況を飲み込む前に言われた通りに従う


「ようやく立ったなこのクソ虫が 私の名前はミネルバだ 今からお前にこの世界について色々教えて扱いてやる。返事は YES mamだ いいな?」


郷に入っては郷に従え ミネルバの言う通りにしよう


「YES mam」


「どうやらクソ虫にも言われたことをちゃんとやれるような思考はあったらしい。それじゃあ、まずはこの世界についての説明だ。この世界は剣と魔法 そして銃で戦う対人戦主軸のゲーム そこら辺にあるようmmoとは違い鍛治のような生産も出来ない チートスキルでバンバン無双も出来ない psが物を言う世界だ」


「ps...」


「プレイヤースキル事だ そんなことも分からぬのかこのクソ虫が」


「すいませんでした 教官 何故そういったものに触れる機会が殆どなく...」


「...まぁ、いい それでこの世界で戦う為に必要な剣と魔法 そして銃の扱い方を教える こちらへ来い」


「YES mam」





そうして私がミネルバに連れてこられたのは剣を始めとした銃等の様々な武器が置いてある訓練所だった


「お前が1番得意とするものはなんだ?」


「一応剣道の心得がありますので刀...それと柔道の心得もありますので素手です」


「ならばこれを使え」


そうして渡された刀 特にこれといった特徴もなく普通 もし名があるなら無銘とかであろう


「そいつを振ってみろ」


「YES man」


言われた通りに振る


「姿勢が硬いぞ!!戦場は剣道の試合と同じではない!そんなお嬢様のような振り方ではまっさきに死ぬであろうな!!」


...確かにミネルバの言う通りだ


私は剣道のように刀を振っていたがそんな馬鹿正直に振っていてはまっさきに的になるだけ...


実践的な振り方を考えなければ


「教官 クソ虫の身でありながらお願いがあります」


「なんだ 言ってみろ 内容によってはクソ虫以下に格下げだ」


「私には先程 教官が仰った通り戦場では活かせない綺麗な剣筋しか振れません..なので戦場での戦い方を 教えてください」



「...ほう クソ虫が随分言うじゃないか 良いだろう クソ虫のその向上心に免じて徹底指導してやる だがそれをやる前に魔法と銃に触れてからだ いいな?」


「YES mam」


「では魔法について始めるぞ 殆どは魔法と呼ばれているが正確にはアーツと言う アーツは最大5個までセット可能だ」


「それで先程のpsを知らない様子から魔法がどういうものかも知らないだろう。私が今 魔法を見せてやろう。火矢ファイアアロー


教官がそう唱えると同時にどこからともなく火矢が現れ 訓練所の奥にあった的を穿つ


「これが魔法...」


「そうだ 魔法については...私がこの後 お前を鍛える関係上 こちらで決めさせて貰う 良いな?」


ミネルバならきっと私の最適に合わせてくれるだろう 下手に自分で選ぶよりそっちの方が良い


「YES mam」


「では次に銃だ 銃に関しては私は何も言わない お前の好きなものを選べ」


「YES mam」




ドドドドドドド!!!!


連続した銃声が鳴り響く


私が今撃ってるのはAR アサルトライフルだ


しかし的への命中率はあまり良くない


「良かったなクソ虫!お前にはアサルトライフルの適性が全くないようだな!!」


まともに当たる気がしない これをかつての戦場では普通に扱っていたのか?


軍人と兵士の凄さが伺えるな..


「他に考え事をする余裕があるみたいだな?」


「すいませんでした 教官」



パァァン!!!


炸裂するような音を鳴り響かせながら放たれる無数の銃弾 それらの命中率は...それなりだ


「ほう、良い知らせだ クソ虫 ショットガンは適性があるようだな」


どうやら適性があるらしい これは嬉しいな



次に選んだのは


ダダダダダダ!!!とARと比べて軽い銃声を鳴らすサブマシンガン


その命中率は微妙の一言だった


教官もなんとも言えない表情で


「人並みに使えはするようだな...次!!」


非常時以外は使う必要は無さそうだ




バァァン!!!


と轟くような銃声を鳴らすSR スナイパーライフルを扱っているが


「良かったな クソ虫 スナイパーライフルにおいてはお前が最低最悪の記録を残したぞ」


結果は言うまでもない




パン!!パン!


と軽い炸裂音を鳴らしながら 私は的に向けて銃弾を放つ


「ふむ...そこまでだ お前はどうやらショットガンとハンドガンに適性があるらしいな」


最後に使ったのはハンドガン 個人的に1番扱いやすかった 片手でも撃てるのが特にやりやすい


「さて...本来のチュートリアルでやるべき事は終えた。ここからは私がクソ虫に戦場で最低限のパーフォーマンスを発揮出来るように徹底指導していく。いいな?」


「YES man」



そうして私はここから3時間 教官に扱かれることになる




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