第69話

朱雀side




「朱雀さん!」




優菜がいきなり抱きついてきた。





今日はこのために来たようなもんだ。




優菜はずっと気に病んでそうだったから、もう一度ちゃんと会おうと思った。




俺、女には優しい方ね。




だから彼女だけの視界に映って、彼女だけに接触しようと考えた。





抱きつかれるとは思わなかったけど。





「朱雀さん!会いたかった。うっ。ひっく、あの日、私のせいで...うっ、本当にごめ、んなさいっ。そして、助けに来てくれて、ひっく、ありがとう。」





なんでこんな泣いてんだよ。




「気にしてない。つーか、離して。」




ビクッと震えた優菜は咄嗟に離れた。




「うっ、朱雀、さん。私の事嫌いなんですよね。ひっく。」




俺のこと忘れるように仕向けたのが悪かったのか?




「別に嫌いとかじゃない。でも、俺だけじゃ手に負えないと思ったから百嵐に任せただけ。」

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