恋愛編

恋の残り火

第7話

この時期、私は年末に別れた元恋人とも関係を保ちたいと考えていた。つまり、別れても友達でいたいという思いを断ち切れず、繋がりを求めていた。

この頃の経過を詳しく思い出したいが、丁度おかしな症状が増えて行った時期と重なり、常に思考はパンク寸前、過度の緊張状態が続いていたせいか(今思えば統合失調症の陽性症状がひどくなっていった時期にあたる)、部分的にしか覚えていないのだ。


断片的に覚えている事を、書き出しながら並べてみる事にしよう。


まず、別れ話を切り出された11月の末には、まだ“おかしなこと”は始まっていなかったので、言いたい事を伝えて、聞きたい事を聞いてじっくり話をした。つまりは、やり直せないか?と問う私に、彼は無理だ。と答えたのだった。

しかし、同時期に共通の友達のグループの一人が結婚する為、皆でお祝いを考えたりしていたので、直ぐに関係が途絶えることはなかった。


そして、年が明け・・・。


この辺りから、まともに話した記憶が無い、私の頭の中で連想ゲームのように単語が浮かび続けていた時期、ある単語が元恋人への暗号のような気がして、電話をかけた記憶があるが、相手にとっては意味不明な事を言っているとしか受け取れなかっただろう。


その後も、直接電話やメールをすることは無くなったが、私の頭の中でだけ彼との関係は続いていた。

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