第3話 青い魔法少女

目の前に光を感じる。天国?

あの翼の音が天使の羽だと言うのなら納得できる。

天使って実在したんだなぁ。

目を開けてみると、目の前には青いバリアが青い火花を散らして迫ってくる足から私を守っていた。

そのバリアはくるみ割り人形の足を弾き、私の周りは青い炎で囲まれていた。

それに、私はさっきまで町の中に居たはずだ。

けれど、私が座っている地面は真っ白で夜空が広がっているが辺りは明るく、街灯も見当たらない。

ますます状況がわからなくなった。

混乱しながらも辺りを見渡していると、さっきと同じ翼の音が背後から聞こえた。

「ったく、あっぶないわね……でも、間に合ってよかったわ」

聞き覚えのある声に私は後ろを振り向いた。

すると、視線の先には廊下でぶつかったあのギャルの先輩がいた。

しかし制服姿ではなく、代わりに黄色の百合の飾りがついた白いミニドレスを着ている。

背中には真っ白な翼が生えていて、さっきの音は恐らくそれによるものだろう。

私は立ち上がり、彼女に近づこうとするが、

「あー、あんま動かないでよね、やけどするわよ。」

彼女はそう言いウィンクをすると、くるみ割り人形の方へ飛んで行った。

「ちゃちゃっと終わらせるわよ!”ブレイジングファイア!”」

ギャルの先輩の手に白い火炎放射器が現れると、大きな青い炎の玉を作り、くるみ割り人形へと放っていった。

青い炎を浴びたくるみ割り人形は一瞬にして燃えあがり、一瞬にして焼き尽くされてしまった。

「凄い……あんな一瞬で……」

気がつくと私の周りを囲んでいた青い炎は消えていて、辺りの景色はあの町に戻っていた。

まだ混乱収まっていないのか、人が集まっていて騒がしい。

「大丈夫?怪我はない?」

肩をポンポンと叩かれ、目の前には制服姿のギャルの先輩の顔があった。

私は驚きのあまり、後ずさりをしてしまう。

そんな私の様子をみて、ギャルの先輩は笑い声をあげた。

「あっははは!アンタ、ビビりすぎよ!ふふ、あははっ」

訳も分からなくただただ座りこんでいると、ウサギさんが私の膝に乗ってきた。

ウサギさんの体には傷一つもなく、ふわふわな毛を身に纏っていた。

「ウサギさん……」

私はウサギさんが無事だった事に安堵し、ウサギさんを抱きかかえると立ち上がった。

「アンタがぷぅ子を守ってくれたお陰で、ぷぅ子があーしに助けを求めてきてくれたのよ。」

ギャルの先輩はそう言いながら微笑み、私に歩み寄る。

私はウサギさんの方に視線を移した。

「そうなの……?」

私がそう言うと、ウサギさんはそれに答えるように「ぷぃ!」と鳴いていた。

私はウサギさんの頭を撫でて言った。

「ありがとう。ウサギさん」

ウサギさんは嬉しそうに目を細め、されるがままになっていた。

「で、お話は済んだかしら?」

ギャルの先輩が私の顔を覗き込んでくる。

すると、腕を力強く掴まれてしまった。逃がさないと言わんばかりに。

「へぁ?」

情けない声を漏らす私にギャルの先輩は怪しい笑みを浮かべながら言った。

「アンタ、あーしの魔法少女姿見たわよね?見てしまったよね?」

顔を徐々に近づけてくる彼女がなんだか怖くなって、思わず首を縦に振ってしまった。

この時、首を降ったりしなければ……あんな事にはならなかったのかもしれない。

「バレてしまってはしかたない。ならば、アンタには……」

次の瞬間、腕を引かれカフェの方へ引っ張られていく。

「え、っちょ、」

私は必死に抵抗をするが、私を腕を掴む手が離れることはなかった。

怖い怖い怖い。

「……アンタには今日からあーしの助手として手伝ってもらうわ!ついて来なさい!」

「え、ええええ!?」

ギャルの先輩は私の腕を引いてカフェへと入って行ったのだった。

私の平穏な日常はこの出来事を機に、一旦……終わりを迎えました。

これから、私はどうなってしまうのでしょうか?

もう既に先が思いやられます___。

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