第16話 閑話 戦乙女の教会
ラグナロク、人類と神々の最終戦争。五百年前、人類はこの戦いで人口の六割を犠牲にし、グラマティクス大陸の三分の二を焼いて、神々を討ち滅ぼした。
神殺し。ゆえにこの世界には神はいない。
かつて存在した、神を奉じる宗教や思想のほとんどが意味を無くし、自然に消滅していった。
現在、公的に認められている宗教組織は戦乙女教会、ただ一つ。ラグナロク時、たった一柱で人類側についた神……戦乙女を奉じる宗教組織である
無数の蝋燭の灯で照らされた聖堂の中央。純白の法衣を纏った女が立っている。女は手に持った巨大な杖の柄頭で床と軽く鳴らした。
「ラートバルト、居ますか?」
「ここに」
女の声に呼応し、蝋燭に照らされた聖堂中央に女と同じく純白の法衣を纏った老人が現れた。女は、現れた老人に向けて言った。
「現在、招集可能な戦闘司祭は?」
戦闘司祭。教会が有する、戦乙女の剣たる戦力。その名が出たことで老人は全てを察した。
「……ウサギ、そしてワタリガラスが可能です」
「すぐに招集を」
「はっ」
老人は一礼し、音もなく姿を消す。
自身以外誰もいなくなった聖堂で、女は呟く。
「危機が迫っています。この世界そのものに影響を与える危機が」
そして、女はこれから招集される戦闘司祭たちへと告げる、迫る危機を世界を救う方法を口にした。
「エルド・リゼンハイムを殺害せよ」
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