第22話
起きたという表現が正しいかは定かではない、ここ最近睡眠がまともにとれてはいない。寝ようと思えば思うほどに眠れない。結局朝方になって眠り夕方になって疲れのとれないまま起きる。
それもあって
疲れはたまる一方だ、別に疲れるほど仕事をまっとうにしているわけでないが、眠れない日々が積み重なっていくと癒える疲れも癒えないだろう。
無機質な部屋、強いて言えば御札があちらこちらに張り巡らしている点を除けば。事故物件ではないけれど、何も知らず踏み入れた人はそう誤解するだろう。
肩の痛みで前日のことを思い出す。どうでもいいけれど。
この部屋にはテレビすら置いていない。なにひとつ情報なんて聞きたいとは思わないし見たいとも思わない。もしこの部屋で音をたてるものがあるとするなら携帯ぐらいだ。
面倒、だ。かといって家に居てもすることはない。おそらく当分仕事も回って来ない。必要な物だけ持って、ショッピングモールに向かうことにした。
喧騒。ショッピングモールの中は人の声とBGMで騒がしい。別段用事があったわけじゃない。行きたいところがあるわけでもない。寝てるか起きてるかだけの鬱々とした日々。社会から取り残された気分。
ここに来ても適当に通路を歩いたり休憩スペースで座ったりそれだけ。毎日蓄積し続ける疲労感。それでも人間死なないものだなぁとしみじみ思う。食事や水分補給すらも面倒で滅多にとらない。自分でも呆れる。どうせ久しぶりに食べたとて吐いてしまう。食べたから吐く、吐いてしまうから食べない。吐くことが怖いから食べない癖がついてしまった。水分補給する度に胃の中が薄まる感覚がしてとれない。
観たくもない映画で時間を潰した、人もあまりいないくらいだから出来は良くないんだろう。雑でチープそんな感想しかわいてこない、内容は頭に入ってこない。大体の作品は二時間前後だろう。そうやってなげやりにクソみたいな作品を数本見て時間を消化し時間を潰す。それは今日に限ったことではない。仕事が無いときは大概そうやって過ごしているお決まりのパターンだ。
たぶん1年以上そんな生活を過ごしている。あまりに優れない時は部屋でなにをするでもなく寝たきり。
やけくその人生、生活、生きざま。
結局緊急招集も仕事もなく無難に過ぎて、家へ帰る。
家に着くと照明を落とし眠れることだけを祈り日があける頃に眠りについた。
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