第27話 まさかの未来

私と二兎が付き合うようになってから、もうすぐ二年。

相変わらず私たちは口喧嘩ばっかりしている。


だけど、この二年のうちに二兎はついにニートを卒業した。


私達の馴れ初め?を書いた【離れられない二人】がまさかの書籍化、そのうえベストセラーに。

二兎はプロの小説家になったのだ。


ダメな男とそんな男に惚れてしまう女のラブコメがヒットするなんて、世の中って何が起こるか本当にわからない。



本当は恥ずかしすぎるからやめてほしかったけど、二兎をいくら説得しても


「俺と愛のことは、小説に書いて全部永遠にしたいから...それに、これが現実に起きた話だなんて、誰も信じないだろ?」


と言ってまったく相手にしてくれなかった。


その後あまり時間も経たないうちに書籍化が決まってしまい、私も強くは言えなくなってしまった。


今ではなんとシリーズ化までしていて、もう完全に後戻りはできない状態になっている。


(―――まぁ、本当に二人だけの秘密にしておきたい部分は書かないでいてくれてるしね。)



―――



二兎の小説の世界には、最後にペア登録を解除しに行ってからはもうずっと行っていない。

二兎が新しい小説を書いてもガチャガチャが出てこなくなってしまったからだ。


いざ行けないとなるとなんだか少しもったいない気もして、一度二兎に聞いてみたことがある。



「ねぇ二兎、また小説の世界に行ってみたいとは思わないの?」


「何言ってるんだよ。

 俺は愛のおかげでやっと現実の世界で生きていくのが楽しくなったんだ。


 もう、ちゃんとに現実でも幸せになれるってわかったから、小説の世界に行かなくても大丈夫なんだよ。」


「そっか、二兎にしては珍しくカッコいいセリフ!さすがベストセラー作家は違うね〜!」


「まぁ、お前が回したガチャガチャは【スーパーダーリン☆ガチャ】だったしな!俺はやっぱりスパダリなわけよ!」


「はぁ?少し褒めたらすぐ調子に乗るんだから!小説がヒットしたのって私のおかげでもあるでしょ?」


「たしかに愛がずーっとカッコよくいてくれたおかげで今の俺があるからな〜。まぁそんな愛に惚れる俺ってやっぱり見る目あるよな!」


「また調子に乗ってる〜!!!」



―――




私たちはこんな感じでこれからもきっと一緒に生きていくんだと思う。


なぜか二兎が書いた小説のタイトルみたいに【離れられない二人】だから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋愛感情0から始まる大恋愛 天野川リリコス @lilicos

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ