第23話

「優子さんのおかげでこーやって瞬といれるわけだし」


照れながら「だから私は感謝してる」と繋げた。


素直な気持ちを率直に伝えた。



一方、瞬はというと、なぜか固まっている。


「あれ?私なんか変な事言った?」


急に不安になって瞬の様子を伺う。



「いや…」


瞬は口元を手で隠している。


「んな事言ってっと、さっきの続き今すぐすっからな」



そう冷たく聞こえるも、口元の手を剥がした瞬の表情は心なしか赤くなっていた。


すぐに察した私は「ダ!ダメだよ!!おばさん起きてるし!」と慌てふためく。


「わーってるよ」


瞬がフッと笑い返し、冗談なのだと気付く。





「さて」


それから、膝に手を付き「俺戻るわ」と立ち上がる。



なんでだろう。


後でまた顔を合わせるのに急に寂しく感じた。


「うん」


返事と表情が伴っていない。




もっとずっと一緒にいたい…



口には出ていないはずのそれに、「俺もだから」と瞬から届いた。


「あれ!?声出てた!?」


「菜緒の顔に書いてある」


「ほんと!?」


私は顔を押さえる。


そんな私をよそに、瞬は「まぁそんな菜緒を俺は好きになったから」と続けた。


ボッと沸騰するほど熱が上がる。

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