第22話

安心しきった私の耳に、「もしもーし」と同時にドアがノックされた。


「お取り込み中だったら悪いんだけどー」



ドアの向こうの声に、過剰に反応する。


「うわ!!」


「いっ…て!!!」


咄嗟に、上にいる瞬を勢いよく押し退けた。


「お母さん起きてるわよ」


ドア越しに優子さんが「バレないように出てきなよー」と小さく告げた。


そしてパタパタと足音が遠退く。




「なんで姉貴が知ってんの?」


さっきの衝撃で打った肩を押さえる瞬。


「えーっとー…」



苦笑いしながら経緯を話す。


予想はしていたが、瞬からは「マジかよ!!」と飛んできた。


「姉貴にだけは一番知られたくねー!」


「でもね!優子さんが気を利かせてくれたんだよ」


瞬は髪をワシャワシャとかき乱し、「それが嫌なんだよー….」と眉を寄せた。


「ぜってー面白おかしく言われる」


「そーかな?」


「そーに決まってる」



ぶつぶつと「最悪だー…」と漏らす瞬に、私は「んー」といまいちな声を出した。


姉弟だからなのか、なんとなく察しはついている。


けど私は、「でもさ」と感じた事を述べた。

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