第19話
「あのなぁー」
瞬が後頭部をかきながら「今ゆーかそれ」と吐息をついた。
誰だって気になるに決まってる。
私だけがガチガチに緊張して恥ずかしい。
瞬は私の横へ入り、「菜緒が初めてだよ」と繋げた。
「嘘だもん!」
それでも信じない私は顔を背ける。
「なんで嘘つくんだよ」
「だって瞬モテるもん」
「菜緒もそーじゃん」
「モテてないもん」
「匡哉に部屋来ていーよとか言われてたじゃん」
さっきの聞かれてたのか、瞬は被せるように返した。
「あれは…」
冗談だと説明する手前で「あーやめよ」と、遮られた。
「わかってっから」
「だから…」と、瞬は「続きしてい?」と私の上に乗った。
「ほんとに菜緒が初めてだから」
段々と慣れてきた視界が「これでもすげー緊張してんだよ」と、ほんのり赤い瞬を捕らえた。
「はい…ごめんなさい」
事を進める瞬が不意に「あー慣れてきた」と、口にした。
「へ?」
「目」
私の髪を優しく撫で、「菜緒の顔すげー見える」と微笑んだ。
反則だ。
「やっぱ電気消しても変わんねーじゃん」
真っ赤な顔を見られたくないため、瞬へ腕を回す。
「お手柔らかにお願いします」
私の小さな囁きに、瞬は「こちらこそ」と、唇を落とした。
遠い意識の中、居間からはみんなの笑い声が聞こえてきた。
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