第6話 全てが燃え尽きる

瞼を開け、ベッドから起き上がった。机に置いておいたスマホ手に取った瞬間、電話がかかってきた。電話相手は親戚の様で私はすぐに応答ボタンを押した。電話先の声は男の人だった。私は妙に思った。かかってきたスマホの持ち主は女性のはずだ。男性は話し続けた。数分間話を聞いて私は鍵、財布、スマホと最低限のものを持って急いで家を出た。バスや電車の待ち時間は多くあり、私は焦りを隠せなかった。病院に着き、私は息切れをして、膝に手を押し付けながら大きく早く息を吸った。病院に着いたが、私にできることは何もない。目の前で燃えている病院を前にして。消防車は何台も来ていて、消防士が消火をしている。外には野次馬が何人も居り、病院の入り口から救助されている人が出てくる。火は、燃え広がり、煙が病院全体を覆っている。そんななか病院からこちらに向かって、年が七つはなれた私の従妹にあたる人が来た。従妹の話は、従妹が焦って話していたことと、私が病院が燃えていることに対しショックだったのかは分からないが放心状態へあったため、話に集中できなかった。そのなかで、おばあちゃんが病院内へまだいるという言葉は、はっきりと理解できた。私の心拍数は一気に向上した。


「おばあちゃんがまだ中にいるの!」


っとやや大きめの声が出たことに自分で驚いた。従妹は声を出さず真剣な顔で頷いた。


「他に誰が中に残ってるの?」


声を抑えてそう聞いた。聞いたことを後悔した。今聞かないにしてもどっちみち知ることになるが、少なくとも今聞くのではなかった。病院内に軟風子がいる。そう聞いた時、「おばあちゃんが病院内に残されている」と聞いた時には体が動くこともなかったのに、私は体をばっと病院に向け、走り出すかの様な勢いで一歩足を踏み出したが、我に返って、もう一度体を従妹へ向けた。自分の無力さをよく思い知った。

 数時間後鎮火し、おばあちゃんと軟風子が病院から出てくる姿は、見ることが出来なかった。この一軒で多くの親戚と、一人の親友をなくした。周りの多くは、可哀そうだ、辛いだろうなどの憐みを思っていただろう。確かに私は、家族の中で一番好きだったおばあちゃんとつい昨日まで遊んでいた親友も一夜にして失った。私がこうしていれば、などの考えはすぐに捨てることが出来た。少なくともおばあちゃんも軟風子も私に悲しんで欲しい、悔やんで欲しいなどとは思わないだろう。など色々な言い訳を考えたが、どれも単純な考えだったが、あれこれと引きずるのはやめにした。何より考えても疲れるだけだ。この時もっと悩んでいたら、私は違う人生を歩んでいたかもしれない。

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血が骨壷に入る ZIN @ZIN373

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