第2話 友人

自室に戻った私は、勢いよくタンスの引き出しを引いた。水色のシンプルなTシャツとジーンズを出し、姿見鏡の前で手際よく着替えた。髪をとかし、後ろで一つ結びにして、一階に戻った。洗面所に入るとおばあちゃんが洗濯物を洗濯かごへ入れていた。その後ろを通って洗面台で顔を水で洗った。壁に掛けてあるタオルをとって顔を拭いている間におばあちゃんは庭に出て行った。急ぎ目に歯磨きを終わらせたら、駆け足で階段を上り黒のリュックに財布、折り畳み傘、ハンカチ、ティッシュを入れた、ポケットにはスマホを入れ、玄関に向かった。リビングの開いたガラス戸から顔を出し


「行ってくるね」


と一言いい


「行ってらっしゃい」


とおばあちゃんも一言だけ返した。おばあちゃんのあれこれと聞かないところが私は好きだ。玄関の靴箱の上にあった鍵を靴を履くのと同時にパッと取って、外へ飛び出した。玄関ドアの鍵を素早くかけ、一歩目を大きく歩み出した。

 今日は朝から午後三時ごろまで晴天が続き、四時ごろから雨が降り始めるらしい。昨日のニュースで言っていたことだ。ふとスマホで時間を確認すると、時刻は7時40分を回っていた。8時に公園で待ち合わせをしている。徒歩10分ほどなので焦る必要はないがなんとなく早歩きになってしまう。おもむろに空を見上げてみると雲一つない青空が広がっていた。雲がない空を見ると心地がいい。着々と進んでいると公園の入り口が見えてきた。

 公園の入り口に駆け寄ると、ベンチに腰を掛けてスマホを見ている友人が目に入った。この公園はあまり大きくなく、滑り台、ブランコ、小さなジャングルジム、動物の乗って前後に揺らす遊具などしかない。最近知ったのだが、前後に揺れる遊具の名前はスプリング遊具というらしい。この話を友人にもしようと、意気揚々と話しかけた。友人は女性で、身長が163cmと高く短髪で色白なクールな外見だ。


「おはよう」


と声をかけると彼女の顔は一気に明るくなり、笑顔になっていた。


「おはよう!」


とても明るい声で返事をしてくれた。そんな彼女に私はいつの間にか口角が上がっていた。

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