第3話 聞かなければ良かった。

 これは夏だかどうだか分からん話だ。

 聞いた話だし、夏だかどうだか聞きはぐったし。もう聞けんし。


 ……ちょっと変わった知人がいてね。

 叔母さんが入院した時の話をしてくれたんだ。大したことないって聞かされて、知人は気楽に叔母さんの見舞いに行ったんだって。

 そんで見舞いの品渡して、ちょっと話しして、帰ろうとしたんだって。そしたら廊下で、痩せた中年の看護師さんが、


「せいぜいお見舞いに来てあげてください」


 陰気な口調で言ったんだって。何なのこの人って思ったけど、その日は帰って。それから何回かお見舞いに行ったけど、そんな看護師さんいなくて。


「結局叔母さん亡くなったのー」


 って楽しそうに言うんだよね、その知人。私は適当に返事して、その日は別れたんだけど。

 それから行方不明になったんだよね、その人。

 

 ……なんかさ、やっぱり、……あるのかなあ……。

 

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