第2話 言わなければ良かった。
これは中学生の頃ね。やっぱり夏でね。なんで怪異は夏なんだろね。止めてくれよって、……まあこれは私が悪いんだけどさ。
夏休みさ。塾の夏期講習の帰り道さ。街灯の明かりだけがやけに眩しい、がらんとした黒いアスファルトの道を、友達と歩いてたんだよ。
夏だし授業終わったし。何よりちょっと生意気言いたい、強がりたい、そういう年頃だよね。友達と怖い話をしてたんだよ。幽霊見たとか見てないとか。それでさっきの話をしたら、友達が結構怖がったんだよ。だから調子に乗っちゃってね。
「小さい頃は結構見たんだけどね。最近は見てないな。また見れるもんなら見てみたいな」
……タッ、タッ、タッ……。
黒いアスファルトに足音がしたんだ。
……タッ、タッ、タタタ……。
白いジャージ、白いスニーカーの、膝から下だけが、黒いアスファルトを走って行ったんだ。
街灯がやけに眩しくて怖かった。
友達と「足」に、泣いて謝った。
幸いその後は何もなかったけどね。
ああいうことは軽々しく言わんほうが良いね。
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