コミュニティが無い今の出会いの実情
星咲 紗和(ほしざき さわ)
本編
人と出会うこと。日常の中で当たり前にあるもののように思えるかもしれませんが、私にとってはそれがとても難しいことです。友人がいないわけではありません。時々、連絡を取り合ったり、時間を作ってお茶をする相手もいます。それでも、どこか孤独感が消えないのは、新しい出会いや人間関係の形成に、すごく高いハードルを感じているからかもしれません。
以前は、何かのコミュニティに参加することで、新しい人と出会えるチャンスも増えるだろうと考えていました。でも、実際にそれを行動に移すのは簡単ではありませんでした。参加する前から「うまく馴染めなかったらどうしよう」「人見知りが強くて、また浮いてしまうのではないか」といった不安が先に立ち、一歩を踏み出すことができなかったのです。気がつけば、どのコミュニティにも属さないまま時間が過ぎていました。
ただ、それが新しい出会いを遠ざけていることもわかっています。コミュニティに参加しないからこそ、自然と新しい人と接する機会が少なくなり、結果として孤独を感じる瞬間が増えてしまうのです。それでも、参加しない理由をつけて自分を守っている部分があるのも事実で、こうした矛盾に苦しんでいます。
静かなひと時を一緒に過ごせる相手が欲しい。そんな願望を持っている自分に、最近ようやく気づきました。それまでは、自分自身に対して「友達や恋人を求めるなんて贅沢だ」と思い込んでいたのかもしれません。でも、少しずつ「求めることは悪いことではないし、それを素直に望んでもいいんだ」と思えるようになりました。そう考えるようになったのは、自分を見つめ直し、過去の経験を振り返る機会があったからかもしれません。
振り返ってみると、これまでの自分は、新しい関係を築くことを避けてきたように思います。人と親密になるのが怖くて、心の中で壁を作ってしまっていたのです。初対面の人と話すのが苦手で、会話のきっかけがつかめなかったり、どこかで「どうせうまくいかない」と思い込んでいたりしました。そんな風に遠ざけてきた分、今ではそのハードルがさらに高くなったように感じます。
それでも最近、「このままではいけない、もう少しだけでも変わりたい」という気持ちが強くなっています。だからこそ、まずは身近な人に話しかけてみることから始めるようにしています。職場や、いつも利用するお店の店員さん、あるいは道端で見かけた花を見ているときに、ふと隣にいる誰かと話す。そんな小さな一歩でも、自分にとっては大きな前進です。
誰かと何気ない会話を交わすことが、こんなにも難しいと感じるのは、自分が過去に受けた経験の影響もあるのでしょう。学校時代、職場での経験、そして社会に出てからの様々な人間関係。どれも、自分の心に少しずつ影を落としていったように思います。それでも、完全に閉じこもるのではなく、少しでも前に進みたいという思いが強くなっているのです。
友達や恋人を求めることが悪いことだと考える人はいないと思います。むしろ、それはとても自然な感情であり、自分にとっての幸せを追求するための大切な要素です。しかし、そうした感情を表に出すのが難しい人もいます。私もその一人です。だからこそ、最近は「誰かとつながりたい」と素直に思う自分を受け入れ、その願いを大事にしようとしています。
結局のところ、人間関係は一方的に築けるものではなく、相手がいてこそ成り立つものです。だからこそ、まずは自分が少しだけ勇気を出して、一歩を踏み出す必要があります。その一歩が小さくても、続けていけばきっと何かが変わるはずだと信じています。
最後に、自分と同じように人間関係に悩んでいる人がいたら、伝えたいことがあります。それは、「焦らなくていい」ということです。自分のペースで、一歩ずつ進んでいけばいい。無理をして新しい関係を作ろうとするのではなく、自然に生まれる小さなつながりを大切にすること。それが、きっと一番の近道なのだと思います。
コミュニティが無い今の時代、出会いは確かに難しくなっているかもしれません。でも、それでも出会いたいと願う気持ちがある限り、その道は閉ざされていないのだと信じています。
コミュニティが無い今の出会いの実情 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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