第120話

証拠隠滅なんて手の込んだことを私たちに完璧にできるとは思っていなかったから不思議だ。



現場からは翔のスマホも発見されていない。



今時の高校生、スマホも所持していないということ、警察は不思議に思わなかったのだろうか?



百音と奏のスマホはなくなっていたし、何か関連性を考えなかったんだろうか?



ベッドに座って考えていると、蛍光灯がチカチカと点滅した。



ギャーギャーと、また赤ん坊の声。


頭の中に黒い口を開けた教会の扉が浮かぶ。


どこまでも続く階段を私が降りていく。



あそこで私と石井くんは呪いをかけたんだ。



蛍光灯の点滅が激しくなる。



何だこれ、買い換えないとダメかな、面倒くさい。



あれ、点滅が止んだ……



「もうなんだよ、まったく」



とりあえず、風呂でも入ろうかな。



それにしてもあの時のことは断片的に頭に浮かんでくる。



元々あの時の具体的な記憶が私には乏しい。



湯船に浸かりながら、もう一度一番最初に呪いをかけたことを思い出してみようとした。



しかし細かいことを具体的なことはどうしても思い出せなかった。

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