第115話
ぐちゃぐちゃと肉を噛む音がして、その度に血が飛び散る。
楓の母親のもの凄い悲鳴と飛び散る血!
私は恐ろしくなり、その場から逃げ出した。
助けて!何だあれは!?助けて!!
無我夢中で、楓の家から飛び出す。
振り返ると締めていないドアの奥からまだあの食べる音が聞こえてくるような気がした。
パターン!
私が見ていると突然楓の家のドアが閉まった。
後には物音一つ聞こえない。
もしかして、死体を食い散らかしていたの、あれなのだろうか?
あれは何だ、石井くんなのか?
まだ身体が震えている、止まらない。
石井くんの幽霊に会った時、こんな恐怖は感じなかった。
でも、もしあの黒い靄が、翔や奏、百音の遺体を食ったやつだとしたらやはり呪いなのだ。
私が怯える必要はない、私と石井君が作り出した呪いなのだから。
しかし、頭では分かっていても、体の震えは一向に止まらなかった。
あの黒い靄が人を食ったからとか、そういうことで恐れを抱いているのではない。
見た瞬間、そう見ただけで自分の中に抑えようのない恐怖が込み上げてきたんだ。
見てはいけないものを見てしまった。
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