第103話

倉庫に打ち捨ててあった椅子を持ってきて、そこに翔を座らせる。



「これから裁判を始める、あんたはおとなしくそれを聞いてるんだ」



家から持ってきた包丁を突きつけて床に言う。



「わかったら頷きなよ」



翔は2回3回とうなずいた。



「じゃあ、委員長初めて」



クラスメイトの視線が集中する中、委員長が中央に歩み出る。



「これから額賀くんの裁判を始めます」



やや引き攣った顔で委員長が宣言する。



待ちに待ったイベントだ!私は満面の笑みで拍手をした。



「ぬ、額賀君は……これまで自殺した石井くんそれからここにいる若宮さん武藤さん西部さん、田村くん、徳井くんをいじめていました。皆さんはこの行為を許せますか?」



「許せない」


「最低だ」


「絶対に許せない」



クラスメートは翔の周りを囲み、口々に言う。



「あんた、反論したい?これは裁判だからね。あんたに理があればみんなの気持ちも変わるかも」



翔が訴えかけるような目をして頷く。

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