第77話

「この人たちのせいで私たちが呪われてるの?」



「マジかよ……」



誰ともなく非難の声が上がる。



「今言ったやつ誰だよ?」



「止せよ楓!」



「あああ―――!!ちっくしょう!!クソッ!!!」



翔に止められた楓は大声で口汚く叫んだ。



「気分悪いわ……翔、行こう」



「ああ」



立ち上がった翔は佑真と結奈をチラッと見ると楓と一緒に教室から出て行った。



楓の方は二人には見向きもしなかった。



これで4人はバラバラになった。



こんなこと、ついこの前までは考えられなかったことだ。



自分の中に高揚するものを感じた。



そうだ――



「武藤さん、西部さん、田村君に徳井君もありがとう」



「ううん。若宮さんこそ大丈夫だった?」



「私は平気。それよりみんなが間に入ってくれたことが嬉しくて」



それは素直な感想だった。

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