第76話

「生意気なんだよ!!」



さらに叩こうとしたときに「やめて!!」と、武藤くるみと西部美里が間に入った。



「なんだあ?」



楓が私たち3人をにらみつけたときだった。



「マジでもう止めてくれよ」



さらに徳井と田村が加わる。



今までいじめられていて人間扱いされなかった者同士が、初めて反抗の意志を見せた瞬間だ。



「ちょっとこいつらありえねー……翔!座ってないでなんとかしなよ!」



バリバリ!!



楓が怒鳴ったとき、いきなり窓ガラスにひびが入った。



「きゃあー!!」



教室に悲鳴が上がる。



窓際にいた生徒が全員はなれる。



「ふざけんな……なんだよこれ!どうせてめーらがやってんだろ!!」



楓が私たちに手を振り上げたときだった。



「楓!!」



翔が短く、強く呼んだ。



「あ?」



「止めとけ」



翔が目配せすると楓は教室を見渡した。



全員が楓と翔を非難するように見ている。



以前では考えられないことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る