第48話

「おっ、奏からLINEだ」



「なんだって?」



「救急車呼んだってよ。それから俺達がどこにいるか聞いてる。中庭にいるって返しとくわ」



「百音、大丈夫かな?」



「大丈夫なわけないじゃん、あれだけ顔がぐちゃぐちゃになったんだから」



「楓、そんな言い方」



結奈が異を唱えた。


それを聞いて、楓が軽く笑う。



「だからさ!ムカついてんだよ本当に、私はさ!!」



いきなり声を荒らげた楓に、結奈も佑真もびくっと体を揺すった。



「あ―!!なめたことしてくれるよ、まったく!!」



チキチキチキ……



何の音かと思ったら、楓の手にはいつの間にかカッターナイフが握られていた。



カッターの刃を伸ばした音だ。



カッターを思いっきり木に突き刺す。



2回3回……



一心不乱に気を突き刺す楓を見ていて、私は改めて怖いと思った。



私は楓を怖がっている……



でも、この一心不乱な反応は楓ですら怯えているということじゃないか?

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