第44話
カラスがドアに体当たりをする音が薄暗い階段に響いた。
「百音!大丈夫か!?」
「百音!!」
階段の踊り場に倒れている百音に奏と結奈が駆け寄った。
「うわあっ!」
「ひどい……」
かけられていたブレザーをどけると血まみれの百音の顔があらわになった。
顔だけでなく首や手もくちばしでついばまられ血みどろになっている。
片方の目玉が抉られていた。
「百音!」
結奈の呼びかけに反応はなく、百音は「ひゅう…ひゅう…」と細い息を吐くだけだった。
「おまえら奏と一緒に百音を保健室に連れてけ」
翔が言うと田村と徳井は百音を抱える奏を手伝いながら階段を降りて行った。
「これ見て」
楓が翔にさっきの人型を手渡した。
「逃げるときに百音が落としたのを持ってきたの。これ、木でできてるよね?」
「そうだな……木の皮だ。おまえよく拾ったな」
「気になったからさ」
あの突然の惨劇の中でよく楓は冷静に人型を拾おうなんて思ったものだ。
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