第41話

「いや、それ夢なんじゃないか?変な動画見たからさ」



「私もそう思いたいよ!」



奏に百音が返した。



「私は怖くて悲鳴をあげたいの!だけど声が出なくて……ただ喉が痛くなって息が漏れるだけ!目の前にいる石井はぶら下がった顔手に持って何か喋ってた。でもぼそぼそして聞き取れないっていうか聞きたくない!!」



話している百音の顔は顔面蒼白だった、



声は上吊り泣きそうになっている。



こんな百音を私は初めて見た。



結奈も佑真も奏も、3人とも引きつった顔で、百音の話を聞いている。



しかし、楓と翔の2人だけは違うようだった。



「石井が自分の口に指を突っ込んで何かを取り出したの。それを私の口に突っ込もうとしてきた」



「何を入れようとしたんだよ!?」



「あれよ、教室のテレビに映った、最後に映った人型の紙で作ったみたいなやつ!」



奏に答えると、百音はハアハアと肩で息をした。



「私、怖くなって気を失っちゃった気が付いたのは朝だった……」



「石井は?」



「いなかった。だから夢だと思ったの、でも!!」



言いかけて百音はガタガタ震えだした。

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