第40話
楓が優しく言う。
「だからさっき言った通りなんだって!」
「だからもう一度聞かせて。ね?」
楓の口調は優しかったが、その顔は無表情だった。
楓が切れる寸前の顔だ。
その顔が、百音を落ち着かせたのか「ゴメン、楓」というと百音は改めて話しだした。
「昨日夜の2時ぐらいだったかな寝てたんだけど、なんか息苦しくて目が覚めたの」
百音が話し出した時だった、カラスが一羽、私達と離れたフェンスに止まった。
「部屋の電気は決してたんだけども、部屋の隅に何かいるような気がして」
「何それ、幽霊?」
「私、声も出なくて体も動かなくて首から上を左右に振るしかできなかった」
バサバサという羽音を立てて、カラスがまた一羽フェンスに止まった。
楓が、カラスの方へ視線をやる。
百音が話している間、みんな百音を見ていたが、楓だけはずっとカラスを見ていた。
「なんだか怖くなって目を閉じたの。そしてしばらくしてから目を開いたら目の前に石井がいたのよ」
百音の言葉を聞いて、その場にいる全員が固まった、だが楓は翔にカラスの方を目配せする。
促された翔はカラスの方を見た。
「あのテレビに映ったまんまの首吊った石が、私の目の前にいたの!」
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