第20話

中庭に着くと桜の木が見えた。



まっすぐ歩いていく。



すると桜の木の下に人影が見えた。



「うそっ!」



それは石井君だった。



それも生きていた頃の姿で桜の木を見上げている。




「石井君……!!なんで!!どうして!?」



うわごとのように叫ぶと私は走り出した。



でも石井君は消えてしまった。



「石井君!!どこ!?」



辺りを見回してもいない。



幻覚だったの?



でもたしかに見た……



あのときと同じように私は汗をかいてきた。



空気がじめじめと湿気を含んでまとわりつくような感覚……



生温かい風が私の頬をなでる。




バタンッ!!



教会の扉が勢いよく開いた。



「なに……?なんなの?」



すると教会の扉の横に石井君が立っていた。

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