第10話

自分の死がこいつらに対するカウンターになれば、少しでもこいつらの人生を傷付けることができればと思い自殺した。




だから私も朝になって誰かに見つかるまで死体が回収されないように警察に電話しなかった。




そして石井君の言葉を借りるなら、人間であるために死を選んだんだ。




「あいつ遺書とか書いてないかな?」



結奈が不安そうに楓に言う。



「その辺は大丈夫でしょ」



楓は気怠そうに言うと私たちを見て微笑んだ。



「だって、いじめてたのこいつらだし」




そうだ。



石井君を最も物理的にいじめていたのは私たちだ。



こいつらのやり方は、いじめを選抜した私たち同士にやらせることだ。



例えば、他の五人が代わる代わる私を叩いたり暴行する。



こいつらはそれを面白おかしく撮影してるだけ。

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