若宮早苗2

第9話

一時限目が終わり、私たちは屋上へ行った。



私の他には西部美里、武藤くるみ、徳井洋貴、田村昇の四人。



全員、地べたに正座していた。




「おまえら2号からなんか聞いてね?」



波多野佑真が私たちを見下ろしながら聞いてくる。



「聞いてません」


「私も……」


「俺も……」



私も含めて全員が否定した。




本当のことを言うと私は石井君から自殺する1週間前に聞いていた。



自分は1週間後の0時に学校の中庭にある桜の木で首を吊ると。



私は反対することも止めることもしなかった。



むしろ死の決断をして実行できる強靭な意志を羨ましく思った。



こんな毎日を送っていたら死にたくなる。



いや、私も含めて石井君以外は「死ぬこと」すら諦めていた。




こいつらは「遊び」で私たちをいたぶっているに過ぎない。



卒業してしまえば人間以下の扱いをされる毎日も終わる。



そう思っていた……



でも石井君はそうは思わなかった。

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