第10話『死《デス》の手』

 ある朝、俺は目を覚ますと……


 左手に、違和感。


 見てみると、ビックリ仰天。


 なんと、左手の肘から指先にかけてが、赤く禍々まがまがしい、恐竜のようなゴツゴツした肌になっているではないか。


 この手、何か、技が使えそうだな……


 ビームとか、出ないかな?


 俺は手に、何か起きてくれ、と漠然と念じながら、力を込めてみる。


 直後。


 枕元のスマホの、さっきまで真っ黒だった画面が、明るくなる。


 バナー通知。


 ———————————————

 【ニュース速報】

 全国の鉄道で、急病人による緊急停車激増。 

 そのうちほとんどが、心臓疾患!?

 ———————————————


 ちょ、タイミング完璧すぎな。


 漫画じゃあるまいし。何だっけ、あの漫画のタイトル、ノートに人の名前書いたら心臓麻痺になるやつ……


 


──数年後──




 俺はあんまり賢くはないから詳しくはわからないんだが、日本では『超過死亡数』ってやつが五〇万人を突破したらしい。


 死因を見ると、どうも心臓疾患の類が多いらしい。


 気のせいだろうか、俺の左手がこんなになって以来、俺が他人に対してよくない感情──バカ・マヌケ・クソが等々──を抱く度、人の死にまつわるニュースが、舞い込んでくるような……


 考え過ぎ、だよな?


 ……


 あっ、漫画のタイトル、思い出したかも。


 デスの手……


 DEATHデス NO TE


 いやちょっと違う気がする。


 えーっと、"NOTEのて"はローマ字読みだよな。


 あ、NOTEノートか。死のノート。


 心臓が急に止まるとか、怖いわ、マジで。

   

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