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 降りてきてしまった父さんはともかく、真面目にクリスマスになにをもらうかの話を始めた。

 僕としては本当に靴でいいのだ。通学に使える無難なデザインのショートブーツでいいのである。

 特に百人一首のかるたは欲しいものではない。僕や父さんがいらないとして清少納言が欲しいなら書籍として買うこともできるだろう。


 そう提案すると母さんは「まあ百人一首は教養だねえ……学校じゃあんまりやんないんだっけ」と、投了寸前に追い込まれた棋士のごとく天井を見つめた。


「じゃあなにが欲しい? ブーツは必要なものだから必ず買うとして、親としてはなにかもらってウキウキするものをプレゼントしたいんだけど」


「うーん……例年通り現金がいい」


「まあそれがいちばん簡単だよねえ……」


 母さんは眉間に皺をよせた。でも現金ではきっとつまらないと父さんは言うだろう。無駄な父さん力を発揮せず大人しくしていただけたらいいのだが。(つづく)

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