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 清少納言は真面目な表情で言った。


「令和……よりずいぶん前か。今の時代って、百首の和歌をあつめたのがあるんだよね」


「うん、百人一首だね。藤原定家が編纂したやつ」

 母さんが頷く。


「それを紙の札に書いて、上の句を読み上げて下の句の札を拾う遊びがあるんだよね。ニュースで見たよ、競技カルタっていうやつ」


 なるほど。

 いろはカルタよりは百人一首のほうがまだマシだ。


「なるほど……楽しいし勉強になるし完璧だ。よし、タビトへのプレゼントは百人一首のカルタにして、お正月みんなで遊びましょう」


「ええー!?」


 さっきいろはカルタのほうがマシだと言った人が嫌そうな顔をしている。確かに勉強になるし楽しいのは間違いないが、古典文学にさっぱり興味のない父さんにはいささか退屈かもしれない。


「いいじゃないですか、古文の勉強になるし、宗介さんだって平安歌人SFが書けるかもしれませんよ」


「平安歌人SF……かあ。うーん……うーん……んんっ!? 珠子ちゃん、蔵書の和歌の本貸して!」


 母さんはいいですよ、と答えた。どうやら父さんになにか降りてきてしまったらしい。(つづく)

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