12/15

 一足早いクリスマスムードを満喫して、デザートにこれまた試作品のサツマイモプリンを食べる。こっちは完全に母さんのオリジナルレシピらしく、まだ改善の余地があるようだ。じゅうぶんおいしいのだが。


「クリスマスって楽しいね」


 清少納言がそんなことをぼけーっと言う。楽しいね、って。


「そうだ、タビトと清少納言さんはクリスマスプレゼントなにが欲しい?」


「くりすますぷれぜんと……?」


「そう。サンタさんが配ってくれるやつ」


「さんたさん……だれ……?」


 父さんよ、清少納言が混乱しているぞ。これこれこういう架空の人がいて、そのひとからもらうていでプレゼントをもらうのだ、と説明した。


「うーん……あ。書物が欲しい。あたしが書いたやつがどういうていで残ってるのか気になる」


「オーケイ、枕草子読み比べセットね。タビトは?」


「いつも通り現金がいい」


「えー!? もっと楽しいものにしようよ! 清少納言さんもいるんだからさあ!」


 父さんが訳のわからないことをのたまう。でも確かに現金というのは楽しみが薄いのは分かる。どうしよう。(つづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る