12/16

 結局その日はなにが欲しいと明確に言えないまま風呂に入って寝た。布団の中で考えるもなんにも思いつかない。そうだ、明日学校でみんなに聞いてみよう。


 というわけで翌日。学校でいつものみんなに、クリスマスになにを買ってもらう予定なのか聞いてみる。


「え? クリスマスって小学校で卒業するもんだろ? 俺んち仏教だし」


 ゴリ山田の家庭の方針がシビアだ。それでも12月はちょっとだけお小遣いを多くもらえるとゴリ山田は言っている。


「ぼくは模型用塗料をセットで。作ってないガレキがいっぱいあるからね。模型いじりは楽しいよ」


 西園寺のいかにもハイソサエティなセリフ。模型が趣味というのはなんというかとても渋い。


「わたしは……えっと」


 政子ちゃんがなにやらモニョった。どうしたのか、みんなで顔を見る。

 政子ちゃんは顔を赤くして、ぷいとそっぽを向いてどこかに行ってしまった。サツマイモとかなのだろうか。(つづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る