-染まりゆくアリス-

さて、お食事の用意も出来ましたし


こちらのお部屋へどうぞ


わたくしめは、使用人に御座います

なにか御座いましたら、なんなりとお申し付け下さい


さて、主(あるじ)がお待ちしております


こちらの部屋にお食事の準備が整っております


ああ、御嬢様

とても良くお似合いだ


お口に合うといいが、どうぞ召し上がれ


使用人が客人に出す料理だと、ご機嫌だったよ


久方だからね



お気に召してくれたようだね、何よりだ


食後のデザートと紅茶でも飲みながら少し話を聞いてもいいかい?


御嬢様は、何処から来たんだい?


気づいたら森に居た?


どうやって入ったか覚えてるかい?


そうか


ああ、いや、気にするはないよ


大した事じゃない


御伽の世界?


外の世界の概念からは、このセカイはそう呼ばれてるんだね


どうしたんだい?

何も不安がることはないよ


疲れたろう、ゆっくりおやすみ


使用人さん


御嬢様を寝室へお連れしてあげておくれ



おやすみ




アリス




ハートのクイーンをあちらのセカイへ追い出したけれど


それはそれは退屈になってしまった


今度のアリスは


ずっとアリスでいてくれるかな


おやおや、ここに来るなんてとんだ気まぐれかいチェシャ猫さん


それとも今度のアリスが気になるのかい?




------------------

ああ、なんて心地が良いのだろう


世界がどうとかよく分からない事もあったけど


まあ、また教えて貰えばいいか


そういえば、どうして森の中に、そんな所に私はいたのだろう


本当に思い出せない


体を清潔にして、食事を頂いて、落ち着いたけれど


何も思い出せない


通された寝室は、本に出てくるような、お姫様が使うような煌びやかなベッド


身を預けると深く深く沈み込む


疑問は霧散して


眠りに堕ちる



城の主さんや使用人さん達はとてもいい人で、楽しくお話したり、知らないクロッケーという遊びも教えてくれた


毎日が楽しく過ぎていった


あれ?


何か忘れてる気がする


なにか、、、、




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