形にならない、後悔にも満たない何かに向き合う時。
あの時こうしていたらのIFすら浮かんでこないような時。
それでも、漠然とした目の前の現実を否定したくなる気持ちってありますよね。
舞台は結婚式場。先輩の晴れ姿を見ている主人公。彼は見たくもないものをただ見つめる。蠢くのは破壊的衝動。残された一縷の『社会性』が彼を引き留める。
自責しながらも辿り着く心の奥底にある祝福とは……
文章を追っていると痛いほど伝わってくる主人公の気持ち。
痛さから目を背ける自問自答。
素直に祝福することが出来ない葛藤。
それらがストレートに自分の中へ落ちてくる感覚が素敵でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。