第74話

「ではいきますよ~!景気よく三味線やっちゃって!」



三味線がじゃんじゃん奏でられる中、お酒を上から注いでいく。



「ハイハイハイハイ!さあどうぞ~♪」



一本、二本じゃ足りないので十本くらいのお酒を注いだ。



「若旦那、はいどうぞ」



一番上のお猪口を手渡す。


二段目は私。



「みんなもどうぞ~!」



芸者さんたちも含めて百個近いお猪口のお酒を飲み干した。



「こんな飲み方は初めてだ。紅若、お前が考えたのかい?」



「はい!そうです」



「おまえは面白い子だね」



若旦那は頬を酒で赤らめながら笑った。




因みにこの「日本酒タワー」は後に吉原で「紅若積み」と呼ばれるようになるけども。それはまだあとのお話。

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