若旦那がつい最近、奥さんと死別したこととか。

盃を重ねていくうちに二人とも打ち解けてきて、お酒もなくなってきた頃に私から持ち出した。

「ねえ、若旦那。みんなで楽しく盛り上がって飲みません？」

「紅若は酒が好きなのか？」

「ええ。そりゃあもう」

「だったらここにいるみんなで浴びるほど飲むか」

若旦那が言うと、芸者さんたちもわっと喜んだ。

こいつは太客ッ！！

若旦那は財布から小判を十枚、十両出した。

今でいったらだいたい百万円くらい。

「これを酒代にして頼んできてくれ」

「こんなに良いのですか？」

「半分は紅若の小遣いだよ」

「えっ！ありがとうございます！」

吉原は給料制じゃないからこういうチップは大助かり！

ここで閃いた！

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