第64話

明らかに一人だけ抜きん出ている。



他所の妓楼のNo.1。



しかも見世の大きさがうちより上の妓楼の花魁を前にしても、吹雪さんが一際輝いていた。



「背が高いんだ……」



同じ高下駄を履いていても、ほかの三人より吹雪さんが頭一つ背が高い。



腰の位置も全然違って、腰から下の曲線がスラっとしている。



素が170近いのかも……




他の花魁を圧倒する吹雪さんは、まさに吉原の女王に見えた。



四人は自分の美と威勢を誇示するかのように煌びやかな道中を進んでいった。



「どこに行くの?」



「揚屋よ。上流の遊女、花魁ともなると妓楼で客とは会わないの。揚屋で客が指名する。そこにゆっくり焦らすように優雅に向かうの」



お由美が答えた。

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