第61話

と、意気込んでみたものの、昼間はやっぱり客が少ないな。



格子の向こうを見ながら、夜の歌舞伎町を思い出した。



あそこまでの人手を期待しても仕方ないか……




要は狭い範囲でどれだけ客をつかまえられるかだ。



そう思っているとにわかに人の数が増えてきた。




「けっこう人が来るんだ……」



つぶやいた私にお由美が「この人たちの半分以上は野次馬だから」と、教えてくれた。



「野次馬?」



言われてみるとみんな格子に背を向けている。



遊びに来たのなら遊女がいる格子の中を見るはずだ。



「花魁道中を見に来たのよ」



「それが終わったら潮が引くみたいにいなくなるから」

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