第23話

「紅音です」



女将さんはどういう字を書くのか聞くと、ふと私の真っ赤な爪を見た。



「あなた、紅若としなさいな」



「はい!」



「そうだな。アカネてのは他にもいるから紛らわしくていけねー。紅若で決まりだ!」



旦那さんも煙管をふかしながら満足そうに笑う。



「紅若」か……



悪くない。



響きもいいじゃない!気に入った!




こうして私、紅若は「三浦や」で働くことになった。

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