第22話

でも身近に良いお手本がいるならラッキーだ。



「ここには何人か花魁がいるが、今じゃあ吹雪は別格だからな」



旦那さんが言う。



「仁助さん」



女将さんが廊下に向かって声をかけた。



「へい!」



現れたのは黒地に白い模様が抜かれた羽織を着た若い男の人。


後でわかったことだけど、吉原で働くこうした男の人は年齢関係なく「若い衆」と呼ばれる。



「この子を部屋に案内してあげてくださいな」



「へい!」



「妓楼のことはこの仁助や他の子に聞くといいから」



微笑む女将さんの横で旦那さんは訝しげに私を見ながら煙管をふかし始めた。



「そうだ……名前。あなた名前は?」

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