第16話

それに、なんとなく生きていた頃よりも顔つきが大人っぽくなってるような気がする。



まあ、大人といっても14歳だったのが17歳くらいになった感じだけど。



そして改めて景色を見る。




「死後の世界って、生きてたときと変わらないんだね……時代は昔みたいだけど」



「あのう……若様、ここは死後の世界ではなく現世ですが」



「そう?あなたここにどれくらいいるの?」



「私は産まれたときからなので三十年は……」



「なるほどね」



要するに長く居すぎて、自分が死んだことも忘れちゃったわけね。



無理ないか……



だって、私が今いる世界は生きていたときと変わらない。



そよ風が頬を撫で、鳥が空で戯れ、草の香りが臭ってくる。



むしろ、こっちの方が私が生きていた頃にいた都会より空気も美味いしのどかで快適そう。




少し歩き回ってみることにした。

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