第3話
「聖美!もうすぐだから!」
「うん!」
お目当ての雑居ビルに辿りついた私たちは外にある非常階段を駆け上がった。
息も脚も苦しいけど、ここがふんばりどころだ。
非常階段を死にそうなほど息を切らしながら上まで登りきると錆びついたフェンスの扉を開けた。
このビルは管理がいい加減で、こうして外から簡単にビルの屋上に侵入できる。
「ハアハア……疲れたね」
「うん……でもあと一息だよ。そこの脚立を隣のビルにかけて橋にするの」
私が指さした先に脚立が転がっていた。
「あれをどうするの?」
「あれを伸ばして隣のビルの屋上にかけるの。そすれば橋になるから!」
「ええっ!!そんなの怖いよ!!」
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