第65話

「そう。悪魔だ。悪こそがこの世の真実を理解している」



邪羅威はウイスキーに口をつけてから続けた。



「明日、この街のヤクザ共を皆殺しにする。そうすれば、おまえたちが外に出ても誰も殺さない」



「そうだね……」



「最後にここの連中だ」



邪羅威は立ち上がると窓を開けた。



冷えた空気が入り込み、夜風が髪を揺らす。



「漂ってきたか?死の香りが」



まるで殺された奴らの怨嗟が風と一緒に入り込んでくるような気がした。

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