第64話
「そ、それは……」
「自由を得るために人を殺すことに、俺もおまえも大差はない」
邪羅威のグラスにウイスキーを注ぎながら、彼の言葉に耳を傾けた。
「求めてる自由の質が違うだけだ」
「質……」
「地獄の王になることより天国での奴隷を自由と勘違いしてるという違いだ」
「なにそれ……?」
「ジョン・ミルトン。イギリスの詩人だ」
「その人の言葉?」
「ミルトンが書いた失楽園という作品での悪魔の台詞だ」
「悪魔……」
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