第54話

「おい!お連れしろ!!」



「はい」



ドアの側にいた部下が部屋の外に出て、少ししてから戻ってきた。



「どうぞ」



ドアの外に声をかけると一人の男が入ってきた。



「でかっ…」



思わず口にしてしまった。



身長は2メートル以上ありそうで、深いシワが刻まれた眉間と鋭い目。



無精髭を生やした顔。



肩に垂れるウェーブがかかった長髪。



焦げ茶色のトレンチコートに同じ色のハットを被ってる。



「アドル様をお連れしました」



黒服が鯨螺に言う。



「この業界じゃあ知らぬ者はいない方よ」



鯨螺は誇らしげに胸を逸らしアドルという男を紹介した。

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